Writingsコラム

木材不足でウッドショック

1973年、中東産油国の原油価格が70%も引き上げられた影響で、石油価格のみならず、物価が軒並み上がったことを「オイルショック」と言います。今、木材分野で似たようなことが起きており、「ウッドショック」と呼ばれているのをご存知でしょうか?

オイルショックは1970年末〜80年にかけて再び起こり、第2次オイルショックが起きました。実はウッドショックにも同じようなことが起こっています。第1次ウッドショックは米国で2008年に起きたサブプライムローンの投資破綻の前に起こっていました。サブプライムローンは低所得者向け住宅ローン。ローンの審査を甘くして住宅をどんどん建築したために、建築ラッシュが起こり、木材が不足しました。これが第1次ウッドショックです。

第2次ウッドショックは、リーマンショックの後。第1次の余波を引きずっての木材不足でした。そして第3次は新型コロナウィルスの影響によって起こりました。世界の木材供給国であるカナダは、森林を蝕む病虫害対応と、新型コロナウィルスの拡大による世界的需要低下を見越して、減産に転じていたのです。

ところが感染者が激増した米国では、密集した都市生活よりも郊外での生活を選ぶ人が増えたため、住宅ラッシュが起こりました。中国でも好景気による建築増が続いていたせいで、木材は買い占め傾向にありました。さらにコロナ禍の影響で、世界中の貿易が滞り、荷物を収納するコンテナの流通が止まりました。この影響で、せっかくの木材も運ばれることなく、倉庫に眠ることになってしまったのです。

日本でも住宅建築の需要は増えているのですが、こういった輸入木材の流通が滞ってしまっているので、値段は上昇中です。ならば日本は森林国なのだから国内の木材を使えばいいではないか、という考えに至ると思います。ですが、長年安い輸入木材に押されて、国内産木材の供給量が減少し続けた結果、人材と体勢不足で急な大量供給に対応できない状況となっています。

この難局を打破しようと、商社などが主導し、国内林業を活性化させ、安定供給を目指す動きが出てきています。長らく停滞していると言われている日本林業は、これを再生の足掛かりとできるのか。今後の動向が注目されます。

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