Writingsコラム

鼻呼吸を意識しよう

マスク生活が続くせいで、鼻ではなく口で呼吸するようになっている人が増えています。息苦しさのせいで、口で呼吸した方が楽であるというのが主な理由です。単純に「鼻で呼吸するのが苦しいならば、口ですればよいのでは?」と思ってしまいますが、それは間違っているようなのです。

人間は鼻で呼吸することで、鼻毛、線毛、粘膜で異物を取り除いた空気を吸うことができます。口で呼吸してしまうと、このよくできた仕組みを利用することができません。せっかくマスクをしているのにウィルスに感染しやすくなりますし、菌の繁殖を抑える唾液が少なくなるために、口臭、虫歯、歯周病などにかかりやすくなります。しかも呼吸が楽になっているというのは気のせいで、実際には酸素摂取量は鼻よりも口呼吸の方が少ないのです。

口を開けることが常態化すると、眠る時も口が開くようになってしまいます。朝、起きた時に喉の痛みを覚えるようになったり、よだれが出る、いびきをかくようになるなど、少々困った症状を招きます。また口を開いて寝ていると、舌が気道に落ち込むようになります。気道を塞ぐと呼吸ができなくなり、睡眠時無呼吸症候群を引き起こす要因となります。深刻な症状にならないうちに、口が開きっぱなしになるのを防ぐテープなどを利用してみるのも一つの方法です。

口周りの筋肉が落ちてしまうことも、口呼吸を招く原因です。「あ、い、う、べ」と口を大きく開け、舌を出す運動を取り入れたり、口の中で舌を大きく回して内頬を鍛えたりするなど、弱った顔の筋力を取り戻すエクササイズがありますので、気になる方は試してみてはいかがでしょうか。顔の筋力は、体と同じく加齢と共に衰えていきます。意識して鍛えていくことが大切です。

副鼻腔炎や花粉アレルギーなどで鼻が詰まり、呼吸ができない場合もあります。治療することで鼻呼吸へ改善することができることも多いようです。悪性の腫瘍が原因になっていることもあるようですから、どうしても鼻で呼吸できない場合は、耳鼻咽喉科に相談しましょう。

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