Writingsコラム

インド発祥のスポーツ、カバディって?

著しい経済成長や人口増加などで、インドには何かと注目が集まっています。そんなインドで一番人気のスポーツはクリケットですが、カバディの人気も相当なもの。日本でも漫画「灼熱カバディ」(武蔵野創・作)が人気を集め、アニメや舞台化され、国内の競技人口も上向き傾向になったとか。いったいどんなスポーツなのか、簡単にご説明しましょう。

カバディはインドで生まれで、バングラディシュ、パキスタン、ネパールなどで2,000年以上も親しまれています。ざっくり表現してしまうと、「鬼ごっこ」と「ドッジボール」が混ざったようなスポーツで、道具は使いません。獣に対して、武器を持たない人間が協力し、声を掛け合って仕留めたことが起源であろうと言われています。古代インドの叙事詩「マハーバーラタ」で主人公の息子が7人の敵に囲まれ、突破しようとしたが力尽きたという記述から、1人の攻撃手(レイダー)と7人の守備(アンティ)が戦うという形式になったようです。

競技は、男子は縦12.5m×横10m、女子は10m×8mのコートで、平坦で柔らかな土の上で行われていました。ですが、十分に普及していない日本では、体育館などの屋内で行われています。1チーム7人、前後半それぞれ20分(女子は15分)が試合時間です。試合は攻撃と守備を交互に行います。競技選手には体重制限があり、男子は85kg以下、女子は75kg以下となります。なぜ体重制限があるかといえば、ボクシングや柔道のように体重が重いほど有利だからです。

サッカーのように中央のミッドラインでコートが2分割され、ミッドラインからエンドラインまで3.75m(女子は3m)先にボークラインという中間線が設けられます。ミッドラインを超えて相手の陣地・ボークラインに攻め入ることができるのは1人だけ。この時に攻撃側は「カバディ、カバディ」と唱え続けなければならず、途切れればアウトです。ただ、これはつぶやく程度で、叫ぶ必要はないようです。

攻撃側が、相手のボークラインを超えた時からプレー開始。守備側のプレイヤーにタッチし、自陣に戻ることができれば1点。この時、タッチされた守備側の人は、「ドッジボール」のようにコートの外に出なければなりません。残った守備側が、攻撃者を自陣に戻らせないように追いかけるので「鬼ごっこ」を連想させます。

単純なスポーツのようにも見えるため、軽い気持ちで長年親しんでいるインド人に混じってプレーしてみたら、あまりにもハードで、すぐに息が上がったという話も聞きます。本場インドでは、実力差があまりにありすぎると怪我をする恐れがあるため、弱い相手にはタックルを手加減するマナーがあるのだとか。それほど激しいスポーツなのです。

残念なことに日本の競技人口は5,000人ほどと言われ、まだまだマイナーですが、プロリーグのあるインドではトップ選手の年収は数千万円という話です。道具を一切使わず、肉体だけで勝負するスポーツですから、これからもっと世界に広まって、各地から有望な選手が出てきそうで楽しみです。

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