Writingsコラム

認証制度Bコープを知ろう

環境負荷を減らす認証制度にはISO14001や、建築や都市の環境システムを評価するLEEDなどがありますが、Bコープはご存知でしょうか。日本ではまだ認知度も取得企業も少ないですが、ここ5年で欧米では急速に知られることになり、取得する企業が増えています。

Bコープとは、Benefit(利益) Corporation(企業)の略で、アメリカの非営利団体Bラボ(B Lab)が2006年から実施している認証制度。社会、環境、従業員、顧客など全てに対して利益をもたらす企業であるかを判断されます。Web上で環境やガバナンスなど、Bインパクトアセスメントという200もの質問事項に回答し、80ポイント以上取得する必要があります。申請は無料ですが、現在、日本語版はなく、英語の申請のみとなっています。

申請後は、Bコープの約定文書を作成して提出します。国や地域、法人の規模で異なりますが、これらをもとに第3段階として、Bラボ審査員との電話インタビューが行われます。こうした過程を経て認証された後は、企業の規模に応じた年会費を支払います。さらに3年ごとに再びBインパクトアセスメントへの回答が求められ、取り組んだ内容のレポートを提出しなければなりません。

Bインパクトアセスメントの質問内容は、年間で従業員の有給休暇・病気休暇などが取得できる日数、管理職における女性やマイノリティの割合、事業で排出される廃棄物量の記録など多岐にわたりますが、従業員のやる気や熱意といった分野もあります。更新時までの3年間での成果も求められ、認定を得るために、企業としては継続的に旧来の手法を見直し、持続可能なシステムを作っていく必要があります。

Bコープ取得は大変なものですが、環境問題を切実なものと考える消費者の支持を得ることができます。大企業に限らず、小規模な会社でもBコープ取得企業となると、公益性が高いと考えられ、優秀な人材の確保につながるかもしれません。海外展開する際や、スタートアップ企業にBコープ認証があれば、特に欧米では信頼度が増すというメリットがあります。

また、企業が社会や環境への貢献など、利益以外の目的を目指していることを示すことにもなるため、投資家や株主からの理解も得られやすくなるでしょう。企業自身も、差別主義への反対を表明する、企業理念の合致しない取引先とは取引をしないなど、有意義なアクションも取りやすくなります。

今のところ日本でのBコープ取得は、パタゴニアやダノンなどのグローバル企業の名前が目立ちますが、神奈川県の造園会社・石井造園、埼玉県の介護サービス業・フリージアなど、事業規模に関わらず増えています。世界では5,000以上。アジアでは台湾の認証数が多いようです。興味のある方はBラボの公式サイトで検索してみてください。

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