Writingsコラム

オリーブだけではない!?香川県小豆島

香川県の小豆 (しょうど)島は、「小」という字が入っていることから小さい島かと思われますが、瀬戸内海では淡路島に次ぐ大きさです。その小豆島の名物として真っ先に挙げられるのはオリーブ。生産高は国内1位で、気候によって多少の増減はありますが、常に国内シェア9割前後を占めています。

栽培の歴史としては、1908(明治41)年に香川、三重、鹿児島で試験的に導入したところ、香川県小豆島での栽培が成功し、今に至っています。温暖で雨が少ないという香川県の気候条件が、地中海沿岸の栽培地域と共通していたため、根付いたのだと言われています。

世界に目を向けてみると、オリーブ生産の1位はスペイン。他ギリシア、イタリア、モロッコなどがありますが、毎年、常に2位以下の国には2〜4倍くらいの大差をつけた生産量を誇っています。輸出量、オリーブオイル等の加工品の輸出量も世界でトップ。この突出したシェア率は、ある意味、日本国内のオリーブ生産にも重なります。

しかしながら、世界のオリーブ市場から見た香川県のオリーブ生産高は微々たるもの。ですが、香川のオリーブは1粒1粒手で摘まれ、収穫後すぐに採油されるため、品質は抜群。着物センスの良さと美貌、そして女性としてのモテ力を存分に発揮した昭和の小説家・宇野千代さんがスキンケアに愛用したことから、当初はスキンケア商品として認知されていきました。

オリーブオイルが食生活に取り入れられ始めたのは昭和の後半。オレイン酸やリノール酸が豊富なため、食べることで脂肪蓄積の抑制や便秘解消、血圧上昇を防ぐなどの健康効果が注目されました。平成に入ると、オリーブオイルの産地などの違いを楽しむという食のスタイルが広がりました。小豆島のオリーブオイルは、そういった流れを反映し、農園で栽培や搾油法にこだわった、小規模産地ならではの繊細な味の違いを打ち出しています。

現状、オリーブが有名な小豆島ですが、名産品としては、そうめんも挙げられます。小豆島は、三輪、播州と共に、日本三大そうめん産地と言われています。同じく、特産品であるごま油とそうめんは、実は密接な関係があります。

そうめん作りにはごま油が使われているため、ごま油作りも共に発展していったのです。ごまは乾燥した土地で育つ作物で、瀬戸内海沿岸で広く栽培されていました。しかし各地で搾油するよりも、搾油場設備が整った小豆島でまとめて行った方が効率的であると、そうめん事業の発展とともに、ごま油事業も発達していきました。ごま油メーカーとして国内シェアNo.1を誇る「かどや」は、1858(安政5)年という幕末の変革期に会社として創業してから、小豆島に伝わるごま油の歴史を刻み続けています。

こうした技術の蓄積がある小豆島だからこそ、栽培成功したオリーブから搾油することは自然な流れだったのかもしれません。過疎化の問題が深刻化しているようですが、たくさんある名産品の伝統を受け継いでいってほしいものです。

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