Writingsコラム

コスメもマイクロプラスチックフリーへ

マイクロプラスチックは水に溶けない5ミリ以下のプラスチック粒子。なかなか分解されずに蓄積されていってしまうため、環境や人体への影響などが大いに懸念されています。このマイクロプラスチックが化粧品にも大量に含まれることをご存知でしょうか。

コスメ分野におけるマイクロプラスチックの役割は「なめらかな感触にすること」です。ファンデーション、アイシャドーやリップなどのメイク用品、ローションやクリームなどの基礎化粧品はもちろん、シャンプーやコンディショナー、ヘアスプレーなどのスタイリング剤、日焼け止め剤など、肌につけるもののほとんどに使われています。

EU諸国やアメリカ、カナダ、オーストラリア、ニュージーランド、台湾などでは2015年以降、マイクロプラスチックを含む化粧品の製造・販売が規制されています。日本では法律で全く規制されていませんが、日本化粧品工業連合会が洗い流すタイプの化粧品に対しては、自主的に規制するよう、会員企業に要請しているようです。

そんな状況ではありますが、日本でもマイクロプラスチックを使っていない、もしくは分解しやすい成分を使用したコスメを買うことができます。オーガニックコスメで有名なヴェレダ(WELEDA)やロゴナ(LOGONA)など、ドイツ発のブランドが目につきます。他にシャンプーバーで注目されるニュージーランドのエティーク(Ethique)、天然成分のみを使用したメイク製品のカナダのイリア(ILIA)などが、環境負荷を考える人たちに支持されています。日本国内に実店舗がなく、通販のみという場合もありますが、愛用者は確実に増えています。

ドラッグストアなどで手軽に買えるブランドは、クナイプ(Kneipp)でしょう。全製品にマイクロプラスチックを使っておらず、ほとんどの製品が動物由来成分を使用していないビーガン処方。原材料も不当な搾取がなされていないフェアトレードで購入され、動物実験を行わないことを信条としています。2023年中にすべての製品のパッケージもリサイクルプラスチックに切り替え、2025年末までは持続可能な代替えプラスチックに変わる予定だとか。

日本でもメナリー(Menary)から2021年にパッケージまで含めて完全にプラスチックフリーのリップ「エシカルリップBENI」が発売されています。紙製のケースに入った固形リップは手やブラシで塗るタイプ。リップは特に口から体内に取り込まれやすいものなので、今後、もっとマイクロプラスチックフリー商品が増えることを期待します。

将来的には日本でも法規制が進み、マイクロプラスチックフリーのコスメが常識となるでしょう。しかし法規制を待つのではなく、消費者がプラスチックを使っていないコスメを積極的に選択していくことが、国内企業の考えを変え、結果的に環境問題に貢献することにつながるのかもしれません。

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