Writingsコラム

手話についてのあれこれ

自分の気持ちを相手に伝えたい。誰もが思い、実行することですが、聴覚に障害がある場合は紙に書いたり手話を使うことになります。書くよりも、話す速度や情報量に長けているのが手話で、さらに手の動きで気持ちも込めることができます。2022年にヒットしたドラマ「silent」で手話に興味を持った人も増えているようです。手話をはじめとした、聞こえない方とのコミュニケーションの取り組みをいくつかご紹介します。

まずは手話についてですが、世界各国の言語によって違います。日本語の語順に沿ったのが日本語手話。英語でもアメリカ手話とイギリス手話は違うのだとか。聴覚障害者のスポーツ大会デフリンピックや国際会議のような場では、国際共通語として作られた「国際手話」が使用されています。

手話の教室は案外たくさんあり、地域の自治体主催の手話教室に始まり、専門学校や大学などの高等教育機関、手話サークル、テレビ番組やスマートフォン講座などで学ぶことができます。検定制度は2種類あって、全国手話検定試験か手話技能検定でレベルの確認ができます。公的場面で見かける手話通訳士は、かなりの難関資格。実務経験3年以上で、取得には5年くらいかかるのだとか。

手話通訳者が間に入って、聴覚に障害のある人の電話予約してくれる仕組みもあります。この「電話リレーサービス」は2013年日本財団が始めました。2011年の東日本大震災で「聞こえない人」はあらゆる面で不自由を被りました。アメリカのシステムをモデルとして開始され、2020年電話リレーサービスの制度が法制化されています。

遊び心を持って、聞こえる人と聞こえない人が繋がれないかと考えたのが一般社団法人「異言語Lab.(ラボ)」。ここでは手話言語を使う人と音声言語を使う人が協力し合いながら謎解きを行う「異言語脱出ゲーム」が行われています。名称に「異言語」が採用されているのには理由があります。大抵の聞こえる人が異言語として捉えているのは英語やフランス語などの外国語ですが、聴覚障害者は手話言語を日常的に使っており、手話会話の中には音声言語と同様の文化が息づいています。音声か手話かの違いであるから「異言語」で、異なることを楽しもうという理由から、遊びを通して交流を図っています。

スターバックスコーヒーが東京・国立市に聴覚障害を持つスタッフが半数以上を占める店舗をオープンしたり、セブンイレブンジャパンが実験的にサービス内容を紙面で示すサイニングシステムを導入した店舗を出すなど、手話言語者への理解と、感じ続けていた不便を少しの工夫で解消していこうという流れが起きています。この先、もっと多くの人が楽に生きることができる社会になっていければいいですね。

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