Writingsコラム

飲まないライフスタイル、ソバーキュリアス

若い世代ほどアルコール消費量が減ってきているというニュースを目にしたことがあるかと思います。若い世代にとって、飲酒はさほど魅力的な娯楽ではなくなり、飲んだとしても量は少なめ。または低アルコール飲料が好まれているようです。欧米でも同じ現象が起きていて、アルコールを飲まないソバーキュリアスというライフスタイルが注目されています。

Sober(酒を飲んでいない)とCurious(好奇心の強い)との合成語がソバーキュリアス。飲まないライフスタイルを実践している人がソバキュリアンです。2019年ごろから欧米で広まり始めたと言われています。

2010年にWHO(世界保健機関)は、アルコールの有害な使用に関しての提言を発表。さらに2016年には飲酒による健康問題の比率が欧米などの高所得国で問題になっていると、警鐘を鳴らし続けていました。そこに経済的な不安を抱えている若者層が反応し、飲まないという選択が浸透していきました。日本でも2021年頃から知られるようになってきました。コロナ禍で外食の機会が減ったことで、飲酒に対する考え方をより深く掘り下げるようになったためかと思われます。

健康を損ねたり、暴力的行動を起こすなど、何らかの問題を引き起こすために「飲んではいけない」という我慢する断酒や禁酒と違い、ソバキュリアンは「飲めるけれども、あえて飲まない」というポジティブな選択です。アルコールを受け付けない体質ではなく、あくまで自律的な行動であり、飲酒する人を否定するものでもありません。飲み会に参加してもノンアルコール飲料を選んで、楽しい時間を共にする。また、飲む、飲まないを、その場の状況で決めていく、ライトなソバキュリアンも存在します。

アルコール消費にかかる費用を趣味に使える。二日酔いなどで時間を無駄にすることがない。肝臓などに負担をかけることもなく、むくみなども防止できて、睡眠の質も良くなる。飲まないという選択は、メリットばかりだとソバキュリアンは言います。

アルコールを扱うメーカーも、ソバーキュリアスというライフスタイルに理解を示し、ノンアルコール飲料を続々と発売しています。需要があるという面もありますが、社交=飲酒という一律の構造は、多様性の時代には馴染まないと考えているようです。研究開発により、味もどんどん向上しており、市場は拡大しています。

飲酒量を減らしたいという人にも、ノンアルコール、低アルコール飲料の選択肢が増えるのは嬉しいことです。普段飲む人も、飲まないという方向に好奇心を向けてみると、新しい発見があるかもしれません。

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