Writingsコラム

土用って何?

土用の丑(うし)の日はウナギを食べる、と昔から刷り込まれている私たちですが、いざ「土用とは何か」と問われると、説明に困りませんか? 改めて、土用についての知識をインプットしておきましょう。

まず、土用は春夏秋冬4回あります。時期は立春、立夏、立秋、立冬前の18日ほどなのですが、期間は年によって少し変わるとか。陰陽道によると、土用は土を司る土公神(どくしん、どこうしん)が支配する期間なので、土を耕すことは良くないと言われています。草むしりやガーデニングをはじめ、建物の基礎工事も避けたほうがいいようです。他に、引越しや新規事業立ち上げ、結婚や結納なども避けたほうがいいと言われています。

しかし18日もの間、土を動かさず、新しいことを始めることを避け続けるのは無理があると考えたのか、間日(まび)という、土公神が一時、天に帰る日が特別に設けられています。季節によって違いますが、夏の土用では卯、辰、申の日がそれに当たります。春夏秋冬、それぞれの土用に3日ありますので、本気で取り組む方は、神様のいない隙を狙って用事を済ませてしまいましょう。

土用の丑の日にウナギを食べる習慣は、夏場で脂の乗っていない淡白なウナギを売るため、江戸時代に平賀源内が考え出したキャッチコピーだと言われています。ですが、それ以前から土用の丑の日には「う」のつく食べ物を食べるといいと言われていました。梅干しやウリ(キュウリやスイカなど)は、食欲の落ちる夏場に最適で、縁起を担ぐことがなくても食べたいものです。夏と冬に旬を迎えるシジミも疲労回復効果があるせいか「土用シジミ」として好まれていました。また関西や北陸では、あんこをまぶした「土用餅」で体力をつけるという習慣があります。

夏の土用の晴れた日は「土用干し」をするのも昔ながらの習慣です。仕舞い込んだ着物や道具を出して風を通すことで、カビや虫の害から守るには、梅雨が明けた夏の土用である7月末〜8月初旬が最適だからでしょう。塩漬けした梅干しを一度取り出し、紫外線にさらす作業も土用に行われます。梅雨のじめついた時期につけた梅を、強い日差しで殺菌するのは、実に理にかなっていると言えるでしょう。

ちなみに秋の土用は、辰(たつ)の日に「た」のつくものや青いもの。冬の土用は未(ひつじ)の日に「ひ」のつくものや赤いもの。春の土用は戌(いぬ)の日に「い」のつくもとや白いものを食べるといいと言われています。付け加えておくと、夏の土用は黒いものが推奨されています。ウナギは表皮が黒くて「う」がつきます。このダブル効果が、夏の土用によいとされた理由の一つなのでしょう。

季節の変わり目に設定されている土用期間は、寒暖差などが激しく無理をしてしまうと体調を崩してしまいがち。そうしたことから、休息や栄養を摂ることが推奨されたのかもしれません。2023年の夏の土用は7月20日〜8月7日で、丑の日は7月30日です。暑さも厳しくなる時期ですから、体調には十分注意してください。

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