Writingsコラム

解熱剤の基礎知識

普段さほど熱が上がらない人が感染症にかかった時、驚くほどの高熱が出てしまって、焦ることがあるようです。人体における発熱という現象と、それに対処する下熱剤について、基本的なことをおさらいしておきましょう。

まずは、なぜ病気になると熱が出るのかについてですが、一言で言えばウィルスなどの攻撃に対する免疫細胞が機能した結果ということになります。実は人体にとって熱が高い方が、ウィルスに対する攻撃力が高まるのだとか。試験管内での実験結果ですので確実にそうだとは言い切れませんが、現時点で、かなり有力な推察であるようです。

発熱に対処するための薬が解熱剤です。しかし同条件で、薬を飲んだ、飲まないで、回復がどう違ってくるのか、人体で検証した研究結果はまだないようです。けれども熱や体の痛みは、プロスタグランジンという物質が引き起こすことが判明しています。このプロスタグランジンの生成を阻害することで、熱や痛み、喉などの炎症を抑えられるのです。ステロイド性抗炎症薬(SAIDs)と、非ステロイド抗炎症薬(NSAIDs)の2つの系統があります。

市販薬は非ステロイド性抗炎症薬が多く、成分としてはロキソプロフェンやアスピリンなどが代表的です。こういった成分が、炎症が起きた部分でプロスタグランジンが作られるのを抑えてくれた結果、熱が下がるのです。商品名ではロキソニン、アスピリンなどがよく知られています。

ステロイド性抗炎症薬の代表としては、カロナールが挙げられます。こちらは、アセトアミノフェンという成分が、体温を上げるように命令している脳の体温調節中枢に働きかけて、体熱を上げないようにしてくれます。空腹時も服用できて胃腸に優しいという特徴を備えています。非ピリン系であることも、長年にわたって幅広い世代に選ばれてきた理由だとか。

実は非ピリン系とは俗称で、正式名称はピラゾロン系解熱鎮痛剤です。イソプルピルアンチピリン、スルピリンが成分名。スルピリンやアンチピリンなどが代表的な薬剤名になります。しかし過敏症や運動障害などが問題になり、現在ではごく少数の市販薬に配合されているだけです。参考までにアスピリンは、ピリン系でも非ピリン系でもありません。アセチルサリチル酸のことで、アセチルのAとサリチル酸の別名であった(SpiraeUlmaria)という植物に由来するそうです。

高熱が出ると、体力が消耗し、動きたくなくなります。これは体が求める休息のサイン。忙しいからと無理や無視することなく、ゆっくり休むようにしましょう。解熱剤を飲む、飲まないも、タイミングや症状、体質等で差が出るため、一概に使用の是非を判ずることができないようです。自分の体の様子を観察し、わからない場合は医師の判断を仰ぐようにしてください。

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