Writingsコラム

そもそも免疫力とは

暑すぎたり寒すぎたり、厳しい気候の頃は「免疫力を上げよう!など、よく言われています。上がったり下がったりする免疫力について、基本的なことを見てみましょう。

免疫とは、異物が体内に侵入して来た時に追い払ってくれる体内システムです。これは体内で発生したがん細胞などにも作用してくれるため、弱くなるとさまざまな病気にかかりやすくなってしまいます。

免疫には2種類あります。まずは皮膚や粘膜、目の角膜などにある粘液や気道粘液、涙などが外側からの異物を攻撃しますが、そこを突破されたらマクロファージや白血球などが応戦します。これが人間に備わっている自然免疫です。もう一つの獲得免疫は、異物と戦いながら、外敵の情報である抗原を記憶し、病原体への武器である抗体を作り出します。生まれてから病気にかかることで獲得していく免疫で、症状が重症化しないように、あらかじめワクチンを注射することもあります。

腸には免疫細胞の6〜7割が集まっていると言われています。腸内環境を整えることが免疫力アップにつながるという根拠はこの点からです。同時に腸を動かす自律神経を整えることも体のためになることです。バランスのいい食生活や睡眠時間を十分に確保するなどして、免疫力を損なわないことが大切です。

免疫力は体温が下がることでも損なわれます。人間の体温は36.5℃ですが、1℃下がると免疫力が3割下がると言われています。逆に1℃上がると最大5〜6倍もの力を発揮するのだとか。風邪などで発熱するのは、体が体温を上げることで免疫力を上げ、抵抗力を上げようとしているためです。

加齢によっても免疫力は下がってきます。筋肉の中には、外敵を攻撃するリンパ球を活性化させるグルタミンが含まれています。筋肉量が減るとグルタミンも減るので、免疫力が落ちてしまうというわけです。30歳を境に人間の筋肉量は自然と落ちていくものですので、タンパク質の摂取と運動によって筋肉量を保つことが大切です。

実は免疫力という言葉は医学用語ではありませんが、免疫機能の状態を表す言葉として世の中に広く知られています。病気を予防する総合的な指標として、バランスのいい食事、十分な睡眠、適度な運動、ストレスへの適切な対処など、健康を損なわない生活習慣を保って、免疫力を下げないようにしていきましょう。

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