Writingsコラム

コンビニの食品ロス対策

スーパーであれば、閉店時刻や賞味期限が迫ってくれば割引シールが貼られ、いくらか安く売ることで食品の廃棄処分を避けていました。が、厳格に賞味期限を守り、新鮮な商品を提供していくという姿勢を、長くコンビニは守り続けたために、その是非を問う意見が交わされてきていました。しかし、時代は変化しています。日本のコンビニのフードロス対策は、今、どうなっているのか、概略をお伝えします。

ファミリーマートでは、サラダや惣菜の包装資材にガス置換包装を導入し、賞味期限を3日延長したり、お菓子などの規格外商品の店内販売を実施していました。また佐賀県佐賀市と提携して、廃油をバイオディーゼル燃料にして、市営バスの燃料に活用。具体的数値目標として2030年には食品ロス50%減、2050年には80%減、としています。

ローソンも食品ロスを2025年までに25%減、2030年には50%減という数値目標を出しています。店舗ごとにロスを減らす努力と共に、製造工場での廃棄物削減に力を入れているようです。発注システムも、天候、運動会など地域や客層の情報、店舗ごとの売上傾向を加味したセミオートシステムを導入。値引きシールの導入には最も積極的です。さらに余剰となった食品をフードバンクに寄贈するなど、リユースにもつとめています。また、2023年8月下旬から3ヶ月間、食品ロスと物流効率化の実験として、東京都と福島県の21店舗で、定番のおにぎりの一部を従来の冷蔵ではなく、冷凍食品として試験販売をしました。結果を検証し、2年後をめどに本格導入されるようです。

ミニストップでは1980年の創業以来、店内で使用した揚げ油を石鹸や家畜飼料、インクにリサイクルしていました。食品リサイクル法施工以前の3年前である1998年から賞味期限切れの食品を家畜の飼料にする試みを実践。25年後の現在では飼料化だけではなく、堆肥やバイオマスに使っています。東京、神奈川、千葉、埼玉と地域限定となっていますが、エリアは拡大予定だとか。

セブンイレブンのセブン&アイグループは、イトーヨーカドーやヨークベニマル等の同グループのスーパーと連携して食品ロスに取り組んでいます。そしてプライベートブランドの納入期限は従来の3分の1ルールを2分の1に拡大。表示も「年月日」から「年月」へ変更することで食品ロスを防いでいます。

3分の1ルールとは、卸売業者、小売業者が消費者に安全に食べてもらうために設けた商習慣です。最初3分の1は期間内に卸売業者は小売業者に納品する納品期限。次の3分の1は小売業者が店頭に並べておく販売期限。最後の3分の1は消費者が美味しく食べることができる賞味期限。製造されてから1年後が賞味期限であれば、納入期限は4ヶ月。これを1日でも過ぎると一般小売店ではなくディスカウントストアに納入されましたが、大体が破棄されていたという状況が食品ロスの大きな原因でした。ちなみにアメリカの納入期限は2分の1、欧州は3分の2で、日本の3分の1ルールを見直すだけで、かなりの食品ロスが防げると言われています。

コンビニ大手4社の取り組みはさまざまですが、食品ロスを防ぐという目標のために、消費者である私たちも従来の慣習にとらわれ過ぎることのなく協力していきたいものです。

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