Writingsコラム

今、改めてダイレクトマーケティング

マーケティング手法の中で、企業と顧客がダイレクトにつながり、最終的に購買に至るダイレクトマーケティング(DM)は、古典的だと思われがちです。ですが、実は現代的にブラッシュアップされていることをご存知でしょうか。

ダイレクトマーケティングは、15世紀ヨーロッパからすでに始まっていたと言われています。15世紀はヨーロッパでの出版技術が発展していった時代です。世紀の初めには東洋から木版技術がもたらされ、中期にはグーテンベルクが活版印刷を発明。世紀の終わり頃には、より精密な線が表現できる銅板印刷が普及し出します。これら印刷技術を使ってカタログが印刷され、販売手段の一つとして活用されていきました。

「ダイレクトマーケティング」という言葉の使用は、1967年レスター・ワンダーマンが、現代的なマーケティング手法として定義したことから始まりました。購入してくれそうな顧客を選び出し、企業がコミュニケーションを取りながら販売していくというビジネスは、テレマーケティングをはじめ、ダイレクトメール、テレビやカタログ、Webサイトを使った通信販売などが代表的です。

顧客を絞り込まないマスマーケティングと違い、DMはターゲットを絞り込み、望んでいる情報を提供することで購入に繋げるため、費用対効果が高くなります。結果を数値化しやすいので、データを検証しやすいというメリットもあります。

実店舗ではなく通信販売を主力としている企業とDMは特に相性がいいものです。しかし店舗の売上が主力であっても、効果的なDMを打つことで顧客の関心を高め、ロイヤルカスタマーという「企業のファン」を作り出すことで業績を伸ばすというパターンもあります。

自社のこだわりや歴史をまとめ、商品の「物語」の要素を高めたカタログを、特定の顧客に送付した結果、高い購買率と客単価につながった事例もあります。好景気の時代は、こうしたカタログを選別することなく配布するだけでしたが、顧客情報の蓄積やマーケティング、AIと連動することによってターゲットを絞り込むことが可能になり、結果を出すことができました。QRコードとスマートフォンとの相性も良く、企業と顧客のハードルを低くすることに貢献しています。

古典的と言われるDMであっても、現代のデジタル情報を組み合わせれば、まだまだ広がる可能性がありそうです。情報と手法の意外なマッチングが鍵となるのかもしれません。

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