Writingsコラム

健康的な油って?

天ぷらや唐揚げなど、揚げ物は美味しいけれども体に良くない。では毎日オリーブオイルをスプーン1杯飲むのがいいのか、それとも油は全て絶った方がいいのか。さほど詳しく理解していなかった、油と健康について探っていきましょう。

食品の「あぶら」には植物性の油、動物性の脂肪と2種類あります。牛肉や豚肉などに含まれる脂肪は、取り過ぎてしまうと血中コレステロール値が上がり、動脈硬化を招きます。対して、魚に含まれるDHAやEPAはコレステロール値を下げてくれます。植物性の油の一つ、オリーブオイルはリノール酸やリノレン酸を多く含み、コレステロール値をさほど上昇させないという研究結果が出ています。

逆に体に良くないからといって、全く油を取らないと、血管がもろくなり、切れやすくなってしまいます。昔の日本人は油をあまり取らなかったため、脳卒中が多かったという話もあります。水には溶けず、油にしか溶けないビタミンEは、植物性油自体にも含まれていますし、カロテン豊富なニンジンなどの野菜類は油と一緒に摂取することで吸収率が高まります。

ただ、取りすぎは健康に支障を生じさせるため、適正なバランスで摂取する必要があります。適正な量とはどれくらいなのかといえば、動物性・植物性を含めた脂質の摂取割合は全体の食事量のエネルギーで20〜25%とされています(※)。

注意したいのが、私たちが摂取しているのは、バターやゴマ油など「見える油」だけではなく、マヨネーズやスナック菓子、肉や魚に含まれている「見えない油」もあるということです。豆や穀物類にも含まれており、これらの見えない油は平均的な日本人の油の摂取量で73%にも上ります。

それでは「見える油」の中で最も体に良い油はどれかというと、残念なことに答えは不明となります。サラダ油やキャノーラ油、オリーブオイルにゴマ油、大豆油、米油etc.それぞれ特性があり、欠点もあります。それよりも摂取する量と、酸化の度合いが問題です。

油は酸化すると過酸化脂質という物質が作られ、多量に摂取すると腹痛や下痢などを引き起こします。過酸化脂質は長期的に摂取すると、血管を詰まらせ、時には遺伝子まで傷つけてしまうとか。賞味期限の切れた加工品や、食べてみて違和感のある揚げ物などは要注意です。また健康にいいと注目されているアマニ油やエゴマ油も酸化しやすいので、保存方法に注意してください。日光や高温などを避け、空気に触れるリスクを極力減らし、早めに食べ切ることが肝心です。

脂の乗った肉類に揚げ物、菓子パンやチョコレートなど、油脂がたっぷり使われた食べ物は魅力に溢れています。美味しいものには油が含まれている場合が多く、それが美味しさの元であることも困った点です。ともかく、食べ過ぎにはくれぐれも注意し、酸化した油にはご用心を。

※平成6年厚生省「第五次改定日本人の栄養所要量」による

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